Kz氏

ヤクザと家族 The FamilyのKz氏のレビュー・感想・評価

ヤクザと家族 The Family(2021年製作の映画)
4.0
暴対法制定時と20年後の都道府県暴力団排除条例完成時を対比する。間14年間を主人公の懲役で空白にして、コントラスト明確に描く。

ルンペンプロレタリアートという死語を思い出す。「共産党宣言」に定義されている「社会的生産をせず、階級闘争の役に立たない階層」のことだが、マルクスはロマ(ジプシー)をイメージしていたと聞く。ヤクザはまさにルンプロだが、ロマと同じく生産関係の外にある存在だから、ギルドを作らなければ生きていけない。ヤクザと(いう模擬)家族の物語。暴対法、暴排条例は彼らを「賎民」とすることを合法化しているかに見える。
無階級社会実現など幻想である現在、常に背景にある川崎らしい工場群が、この国にロマと同じ被差別賎民が存在することを強調する。

……といって、社会派リアリズムの作品ではない。抗争、殴り込みもきちんと備えたヤクザ映画。
Kz氏

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