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ヤクザと家族 The Familyのmakoのレビュー・感想・評価

ヤクザと家族 The Family(2021年製作の映画)
3.8
【父も母もいないけど、私には《家族》がいました。】

1999年、2005年、2019年。
変わりゆく時代の中で生きる男たちを《家族・ファミリー》の視点で描く。

高評価も納得の内容でした。
観ごたえある骨太の映画でした。

血縁はないけど、家族のように思える者たちとの関係性。でも疑似家族とは違う、そこはヤクザなので上下関係はあるわけで。

《家族》を思いやる山本は理解できた。
ただ、山本と組長の柴咲、兄貴分の中村、山本の舎弟細野・大原との関係性が描ききれてないように感じました。
もっと深く描かれていたら、よりこの《家族》に深みが感じられたと思います。

本作で、暴力団、元組員がいかに現代では生きづらくなっているかを知ることができました。
確かに一般市民に迷惑をかける行為や薬(麻薬・覚醒剤など)、暴力は許せないが人権がないのはどうなのかな。
あと暴力団を抜けても5年間は銀行口座を持てなかったり、ローンが組めなかったり、携帯の契約ができなかったりと、まあ厳しい。
あまりにも厳しいから社会に溶け込めずまた暴力団に戻ったり、罪を犯したりするんじゃないかと思った。

以前、新聞で組員が密漁し捕まったというのを読んだことがありました。なぜ組員が密漁?とその時は疑問でしたが、本作を観て分かりました。生き残るためだったんですね。
ヤクザも生きにくい世の中になってるんですね。
ヤクザを擁護するつもりはないけど、あまりにも排除や締付けがきついと、より深く潜りこみかえって厄介な存在になるんじゃないかと思いました。

観ごたえはあったものの、終盤の展開は違和感がありました。
あと、山本1人が家族のためにという想いが強いように感じ救いがないように感じました。これはネタバレになるので、行間を開けて書きます。

俳優について
綾野剛のヤクザ役、ハマってました。イケイケの時と出所後の演じ分けは上手かった!
組長・柴咲役の舘ひろし。組長役が似合う。懐深い組長役を上手く演じてて流石でした。
兄貴分の中村役の北村有起哉、こういう役がハマりますね。
『すばらしき世界』とは真逆の役でどちらも上手く演じてました。そして、同じくどちらにも出演されていた康すおんさんも真逆の役を演じてて驚きました😅
本作では組員でしたが、『すばらしき〜』では刑務医役でした。

他にも、豊原功補、駿河太郎、尾野真千子、岩松了と演技上手な俳優陣の共演は観ごたえがありました。

2日続けてヤクザ繋がりの映画を観ましたが、『すばらしき世界』の方が好みでした。



⚠️ここからネタバレ↓









終盤、山本が細野に刺され驚きました。
確かに山本の出現により細野の家庭は壊れた。けど、その責任全てが山本のせいだとは思わない。
だって、焼き肉屋で再会したときは突き放したはず。反社との付き合いはしたくないと支払いも断ったはず。なのに、自分が勤めている会社を紹介したり、職場の後輩に元ヤクザと言ったりしてたよね。そこ矛盾してない?
半分は細野自身が原因でしょ。山本1人悪者になってて、可哀想になりました。

あとラスト、よくある展開ですが翼(磯村勇斗)と娘が出会うシーンができすぎって思った😅












劇場鑑賞 #24
2021 #27
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