わたがし

ヤクザと家族 The Familyのわたがしのレビュー・感想・評価

ヤクザと家族 The Family(2021年製作の映画)
5.0
 ほんとにあんまり好きじゃなかった。時代の流れに追いつけなくてしんどいってのはわかるんだけど、なんで時代が自分らを見捨てたのかってところ、つまりヤクザの俗っぽい暴力性に一切興味ない感じが、ヤクザ映画として気持ち悪く感じる。東映70年代のヤクザ映画には絶対ある「こいつどうしようもねえヤツだけどさ、いいとこもあるんだよ」の「こいつどうしようもねえヤツだけどさ」の前提の部分がない。ひたすら時代を悪者にするばっかり
 そんで、時代VS自分を描くとしたら出所後のブランクでギャップに苦しむというよりかは時代のグラデーションと共に徐々に息できなくなってく感じのほうが良くない?とかいろんなこと思った。繊細なとこはめちゃくちゃ繊細だし、相当細かいとこまで行き届いた丁寧な脚本だとは思うけど、根本の倫理とか構成が好きじゃなかった
 演出もすっごい真面目で、ところどころガッっと来るとこは来るけど基本地味でロートーンでウェットで、ひたすら主人公に肩入れし続ける感じが悪い意味で『火花』を思い出した。空撮とカラグレと随所の手持ち長回しは超好きだった
 綾野剛も勝手になんか「毎回毎回新しいこと挑戦する役者」感が強かっただけに、この安定感というか、良くも悪くも作品の奴隷になってる感じが、やっぱりすごい役者だなとも思うしむず痒くもなる。とにかく観終わってすぐ『日本で一番悪い奴ら』を観返したくなる。それとあんまわかんなかったけどIMAXカメラを使う意気込みは最高です。IMAXカメラを使っている、それだけで尊い!!傑作!!
わたがし

わたがし