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ヤクザと家族 The Familyのradioradio526のレビュー・感想・評価

ヤクザと家族 The Family(2021年製作の映画)
4.0
「社会派監督によるアウトロー大河のテーマは家族」

「ヤクザと家族 The Family」鑑賞。

「新聞記者」(日本アカデミー賞最優秀作品賞)の藤井道人監督の新作というだけで否応なしに期待は高まる。
社会派としての鋭い切り口は当代随一と言っていいと思う。
時代と共に排除されていくヤクザの姿を1999年・2005年・2019年の3つの時代で描いた群像劇。
父親を覚せい剤で失った山本賢治(綾野剛)が地元ヤクザの親分である柴崎(舘ひろし)の危機を救うところから物語が始まる。
親子の契りを交わし、のし上がっていく様が描かれる前半、そして後半は暴対法の後の凋落したヤクザ達の痛々しい姿が…。
作品としてはやはり後半の物語が強く刺さってくる…現代における彼等の居場所の無さが鮮烈に伝わってきた。

綾野剛の渾身の演技が素晴らしい。
勿論、舘ひろしを始め、尾野真千子、磯村勇斗、市村隼人らの演技も素晴らしいけれど、綾野剛の悲しみを湛える演技から目が離せなかった。
大河ドラマ「八重の桜」の松平容保の時にも思ったが、不器用ながら愚直に生きる悲しみを演じたら抜群の存在感を出す…今回はそれが溢れんばかりで、実に素晴らしかった。
脇を固めるバイプレイヤーとして大好きな北村有起哉、寺島しのぶ、豊原功補らの安定感は言うまでも無し。
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