ねぎおSTOPWAR

ブリキの太鼓 ディレクターズカット版のねぎおSTOPWARのレビュー・感想・評価

4.7
1979年の作品ですけど、フォルカー・シュレンドルフ監督が現代の若者が観ることを想定して2008年にリライトしたそうですよ!
是非観て欲しいなあ。(経緯は以下)

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パルムドールを「地獄の黙示録」と分けた今作のディレクターズカット版です。ただ監督はオリジナル版もディレクターズカットだからなあと。
通常版でも142分あるんですが、さらに21分長い。
どんなシーンが増えているかと言うと、
①ラスプーチンの本のくだり:オスカルの独白はとても重要!
②ダンツィヒ郵便局戦闘や、ヒトラーパリに来る、ノルマンディなどの当時のニュース映像:ポイントポイントに入るのですが、戦争を知らない人々のリアリティを助ける重要な映像
③特に後半はかなりシーンを入れ替えたり挟み込んだり

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そしてすごいのは、今回初お目見えのシーンは、音声ファイルがなくなっていて、30年経過した本人や実の娘が吹き替えたりしたんですって!
オスカルは2008年当時で41歳。さすがに声変わりを経ていてボイスチェンジャー使ったそうですね。

実は当初165分くらいだったものを、UAが短くしろと命令。泣く泣くそうしたけれど、パルムドール取ってアカデミー取ってで、監督が交渉したそうですよ。しかしUAはこの映画が不完全だったと知られたくないと監督にも一筆書かせたんですって。
で、今回古いフィルムを廃棄するタイミングで「処分しちゃっていいですか?」と連絡があったそう。そして一念発起リライトしたと。

いやー、オリジナルの方がファンタジー感が強く、後味もそんな感じ。こっちはだいぶオスカルの正気感が感じられると言うかね。
好みはこちらですねー。