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Take Me Somewhere Nice(原題)のsonozyのレビュー・感想・評価

Take Me Somewhere Nice(原題)(2019年製作の映画)
4.0
ボスニア・ヘルツェゴビナの女性監督Ena Sendijarevicの長編デビュー作。

母とオランダで暮らすボスニア人のティーンエイジャー アルマ(ジャケ写)が、夏休みに父が入院中のボスニアの病院に一人で向かうロードムービー。

母に買ってもらったライラック(薄紫)色のベルベット地のワンピースとスーツケースでボスニアに到着したアルマ。
久しぶりに会う従兄弟のエミールが車で迎えに来ているが、無愛想な対応で、彼はアパートに着くなり出かけてしまう。

ひとり夜の街をぶらつき、突然美容室で髪を金色に染めるアルマ。
エミールの部屋に戻るが、まだ帰っておらず、やって来たエミールの友人デニスと知り合う。

父の病院まで車で送ってと頼んでも忙しいと冷たいアルマ(無職なのに)。
仕方なく、長距離バスに乗り向かうが、途中の休憩時、下車して車酔いで吐いていると、バスはアルマを置いて出発してしまう。。
途方に暮れ歩くアルマ。途中、女性ドライバーが拾ってくれる。。

10年ぶりに会ったエミールと、彼の弟子のようなデニス。アルマと二人の不思議な関係性。
キャバレー歌手、裕福な男との出会い・・
小さい頃に母とアルマを置いて祖国ボスニアに帰ってしまった父に無事会うことができるのか?

ライラックのワンピースや男物の白ポロシャツのみという無防備な姿に野性のエロスが滲むアルマの行動と、ボスニアとオランダという二ヶ国で揺らぐアイデンティティ。
“Take Me Somewhere Nice”というタイトルは、オランダでもなくボスニアでもない、私にとってNiceな居場所はどこ?的なニュアンスを感じたり。

アルマと同様、ボスニア生まれオランダ育ちという監督。自身の体験が反映されているんでしょうか。
冒頭からエンディングまで、何とも不思議な魅力の作風でした。

ロッテルダム国際映画祭: Tiger Award Special Mention
サラエヴォ映画祭: Best Film
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