小

太陽がいっぱいの小のレビュー・感想・評価

太陽がいっぱい(1960年製作の映画)
4.4
「午前十時の映画祭9」にて鑑賞。美男子の代名詞、アラン・ドロンの出世作で、テーマ曲は私でも知っていたくらいの有名な曲。貧しいアメリカ人青年トムが、金持ち放蕩息子のフィリップを彼の父の依頼でナポリから連れ戻すよう頼まれるものの、フィリップの仕打ちなどから殺意を募らせ、ついにはフィリップを殺し、彼に成りすますが…。

サスペンスとして面白く、オチにも納得。でもまあ内容的にもの凄く印象に残るような作品かといえば、そうでもなかった。何か面白いネタはないかとググッてみると、あの故・淀川長治が「ホモセクシュアルの映画だ」と言ったそうじゃないですか。

それから色々調べてみると、フィリップを愛したトムがフィリップを殺すことで彼と同一化する物語だとか、原作のパトリシア・ハイスミスも、ルネ・クレマン監督も同性愛者で、クレマン監督はアラン・ドロンのことが好きだったとか。

トムがフィリップの服を着て彼になりきり、鏡に映った“彼”にキスをするシーンやフィリップの婚約者マルジュとの三角関係を思わせる台詞や設定など、ネットの解説を読むとナルホドと思うことばかり。ゲイ映画として観るならば、ラストシーンの意味も変わってくる。

ウィキペディアによれば、淀川さんは本作について<「主人公と、彼に殺害される友人はホモセクシャルな関係にあり、そのことがわからないとこの映画の魅力はつかめない」と終始主張したが、あまり賛同者はいなかった>とのことだけど、説得力はあると思うし、単なるサスペンス映画として観るよりもグッと面白くなる。さすが。

町山智浩氏は本作の淀川解説に映画評論の意味を学んだというようなことを言っているけど、名解説とはこういうものだろう。もう一度観たくなった。

なお、我らがフィルマガに素晴らしい解説がありましたのでご参考まで。
https://filmaga.filmarks.com/articles/1246/

●物語(50%×4.5):2.25
・別の意味にも解釈できる作品。もう一度観たくなる。

●演技、演出(30%×4.5):1.35
・アラン・ドロンが美男子として本作でブレイクしたのも納得かも。

●画、音、音楽(20%×4.0):0.80
・テーマ曲は私が知っていたくらいなので…。
小