観よう、観ようと思いながら観ていなかった今作。
最近夏めいてきたので観てみようかという次第です。
アラン・ドロンデビューを果たしました。
トムが犯す犯罪、逃避行にゾクゾクします。悪いことを観ている気がしない上に、映画が終わったあとに考えてみても、トムへの嫌悪感が湧いてこないのは、アラン・ドロンの魔力なのでしょうか。
彼に成り代わって、「全て」を手に入れるさまは、トムの洗練された、犯罪に慣れた手つきに思わず興奮してしまうとともに、あそこまでの執着は若干の恐怖も覚えますが、その背徳感と得体のしれない君の悪さのバランスがなんとも小気味いいのです。ニーノ・ロータの音楽ももちろん。
最後には、「切ない、儚い」と思った私はもう、ドロンの術中には嵌ってしまったのかもしれません。