SUI

亡国のイージスのSUIのネタバレレビュー・内容・結末

亡国のイージス(2005年製作の映画)
1.0

このレビューはネタバレを含みます

うーん、茶番。

冒頭の防大生の論文として、国防というシステムの矛盾や日本人のイデオロギーである恥の概念も放棄され国家としての在りようも失った亡国と、今作の根幹にかかわることを謳っているけど、今となってはありきたりな論旨。
でもまあ10年以上前の作品なのでそれは目をつぶるにしても、致命的なまでに他がいけない。

なにやら訳ありっぽい紅一点の戦闘員は、ヨンファとの関係も明確にされないまま、一言も発せず、発せない理由もなんかマフラーをまくって首の傷をチラ見せすることで明示した気になって、最期もどうやらスクリューに巻き込まれたようだけどそれもはっきりと描写されずに、なんだかわからないうちに消えていった。

それよりも何よりも、工作員のリーダーのホ・ヨンファ(中井貴一)である。
何に配慮したのか、彼の国籍は一切明言されない。
そこが曖昧だから、彼らのアイデンティティーや行動規範が見えてこず、なにをそんなに命を懸けてまで日本を攻撃したいのかがわからない。

百歩譲って、そんなヨンファたちはまぁ工作員なんだから、日本を敵国認定してるんだろうとなんとなく納得することはできる。
でも、いそかぜ副長の宮地(寺尾聡)が息子の無念を晴らすためだけに、国家への反逆までもを謀るというのは動機としていかがなものか? 自衛官の高級幹部が? 

再び百歩譲って、最愛の息子を誅殺された親の怒りを留めることなどできやしない、ということだとしても、それに部下がついていくだけの説得力はあるだろうか?

外患誘致罪である。国家転覆罪である。有無をいわさず死刑である。

そうするにはかなりの葛藤があったはずで、意を決して決起したわりにあっさり後悔してみたり、ヨンファたちと仲間割れしてみたりとブレブレ過ぎにもほどがある。
彼らの覚悟のほどは一体どこにいってしまったのだろうか。

国家体裁のイデオロギーまで謳ってみても、敵味方の区別なくすべての登場人物の人格形成 人となりをなおざりにされては、整合性も、説得力も、どっちの片鱗すら見いだすことはできない。
だから、都合二百歩譲って遠くから眺めてもわかるくらい、向こうが透けて見えるほど薄っぺらいのだ。

自分はハリウッド映画至上主義者ではない。
でも、こんな映画しか作れないからいつまでたっても邦画はクソだといわれ、ハリウッド映画どころか国内のアニメーションにも大きく水をあけられるのだ。