吉田ジャスティスカツヲ

あのこは貴族の吉田ジャスティスカツヲのレビュー・感想・評価

あのこは貴族(2021年製作の映画)
4.9
私の前職のころ。

休憩中の【バイトのNくん、ガタイが良い歳下】とテニス🎾をプレイすることが好きという話題から私たちは意気投合。
ある日Nくんは、仲間たちに私を紹介するから一緒にプレイしないかとコートへ誘ってくれたのですが…
【呼び出されたのは夜に某湾岸の、信じられないくらい大きくて、信じられないくらい照明が焚かれたスポーツジム】でした。

私やNくんと同世代であろう男女たち30人位のグループは、
全員が高そうなスポーツウェアを纏い、
私の月給の半分くらいのシューズ🥾を履いて、
運動中なのに良い香りがして、
中身に何が入っているか見当もつかないオサレな水筒を持ち、
帰りのタクシーがどうのこうの話しながらの【キャッキャうふふしながら、ユル〜いラリーを楽しんでいた】のです😧

一部に汚れだか染みだかがついた緑色のジャージで現れたうえ名刺を忘れた私は【まだプレイ開始していないのにもう満身創痍】であり、ここで逃げ出してNくんにまで恥をかかせるワケにもいかず、その空間に溶け込もうとは試みたのでした。

しかししばらくの我慢の末に、周りの話題が自分の職業についてになり始め、
やれ内科医だ、
やれ司法書士だ、
やれ芸人だが聞いたことない、
やれここのスポーツジムの関係者だ、
Nくん自身はベンチャー企業の運営片手間に私の職場で小遣い稼ぎをしているのだと私ゃこの時知った、
との話題のなか【帰りたさがMAXになった私】はそれでも帰れない。

張り付いた笑顔と輪のなかでユルいラリーを続けることを止め、少しだけ本気を出した私は、シングルスでその場の30人くらい居た男女全員をぶtt











        (中略)











以降のことはよく覚えていません。
Nくんと職場で顔を合わせても、業務の話題しかしなくなりました。


さて、地方出身者が上京して大学で初遭遇する"貴族"
つまり東京の伝統ある家系で育った同級生たちの日々の生活を描くシーンは、その世界とは無縁の目から見るとまるで異世界SFのような新奇な面白さ😧こんな世界があったのか。

それも楽しいのですが、映画を見ているとこのタイトルには「続き」があり…
"あのこは貴族"だけど貴族も庶民も同じようなものだったりして、という物語にも見えてくるのです

中心人物は2人、1人は"貴族"社会で育った女子の門脇麦、もう1人は地方出身女子の水原希子。
【ん?逆じゃね⁉️🤔】
2人には各集団の価値観にどっぷり染まっているわけではないという共通点があり、それぞれのやり方で別の道を行くのです…

結婚できずに焦ったり、与えられた人生を謳歌したり、才能を活かして自立したり。

仲良くなるのとは違うが敵対もせず、互いに認め合う、その関係のあり方が気持ちいい。
異種のものに出会い、新たな世界を拓く化学反応のような関係性が清々しいですね。
日本に厳然として存在する社会階級、家柄という頸木のある男性の結婚観もよくわかる内容です。

以前"82年生まれキムジヨン"を世の中の男性陣は必ず観ろ‼️と私は申し上げましたが…
とくに本作、若い女性にとっては人生教科書となるはず。