マクガフィン

あのこは貴族のマクガフィンのレビュー・感想・評価

あのこは貴族(2021年製作の映画)
4.3
出自や階層は違うが親と社会にトレースする人生の対比、廃れた文化が当たり前のようにまかり通ることを女性蔑視のメタファーとするセンスの高さ。女性を縛る価値観や女性の不自由さや居心地の悪さを、鋭い視点だが冷静でさり気なく捉えるアプローチが秀逸。それらのエピソードに、スカイツリーを眺望する地方の東京への憧憬、上から見ることと下から見上げる東京タワーの対比など、冷静に景象として捉えるエピソードと情景のマッチさに唸らされる。原作未読。

世襲にガチガチに縛られた男が、庭の池に小石を投げること位しか抵抗できないような悲しさ。男社会や世襲社会の中での女性同士のドロドロとした対立を避ける、バイプレーヤー・石橋静河の立ち位置の絶妙さ。東京と地方、上流階級と庶民の対比の妙を丁寧に描きつつ、女の根っこや悩みは同じことに惹きつけられる。二度目の頭ナデナデでの気付きが、因果なトレースを断ち切る決心で、自我の芽生えが女性の自立に。ラストの各々の立ち位置の高さと目配りが絶妙で、余韻が強烈。傑作。