さよなら僕のマクガフィンたち

あのこは貴族のさよなら僕のマクガフィンたちのレビュー・感想・評価

あのこは貴族(2021年製作の映画)
4.3
「映画やドラマに出てこない文化だってあるのよ」

日本は何だかんだいって昔から格差社会である。と。
僕は浪人を田舎から上京して都内の予備校でに通い、大学は京都の私大に通ったのでよくわかる。ついでにいうと水原希子演じる美紀の気持ちが痛いほどよくわかる。なので「これは俺の映画だ」って思った。
MeeToo以降の流れを汲んだ日本映画がついにここまできたかという、社会の束縛からの解放を謳歌した物語でもある。
登場する4人の女性が全て素晴らしいのだが、高良健吾も素晴らしい。レールの決まっている男性の切なさを見事に表現。

映画全体的に、登場人物の所作や細かい台詞、モノに語らせる映画である。よって映画の楽しさを味わい尽くすことができる。
マカロンタワーはその場にいる人たちを表していたり、美紀のマンションから見る東京タワーはどのような角度だったとか、あとはやっぱり、普段タクシーで帰る華子が歩いて橋を渡る時、道を挟んだ自転車2人乗り女の子とてを振りあって別の方向に歩いて行くシーン。つまりそういう映画だと言うことを台詞なしに視覚的に見せる手腕の素晴らしさよ。