籠

あのこは貴族の籠のレビュー・感想・評価

あのこは貴族(2021年製作の映画)
4.1
1回目 3.9

コロナ禍前の近年の東京が正しく映し出されロマンチックでなくバトルも高橋ひとみの見事なビンタ一発のみだが自転車の2ケツやタリバツシーン、水原希子と山下リオのやり取りでの現実ではなかなか言ってはもらえない台詞で何度か涙が出た。日本を支える富裕層を描いても本人達は興味ないし、満腹感の無い作り方は「花束みたいな恋をした」よりも一般には響かないだろうから複雑だ…出演陣はそれぞれが素晴らしい最初の見合い相手だった師岡広明のイカれた役作りを特にあげておきたい。今はなき酔の助が出てきて悲しくなる。今年は映画をいつもよりも観ていないが観た2本に銀粉蝶が出ている。悪いことではないがこのポジションに印象深い駒が足らないのも旧作主義者を取り込めない理由の一つ。
「グッド・ストライプス」を当時推奨していた宮川センセイにメールをしたら「私が東京の養分だから感想を求めるのですか?」と返ってきた。
センセイは「ぼんち」だと記してきた。
見る気のしない監督の作品を見る日がきたようだ。

2回目 4.1 2021.4.27@キネカ大森

再見すると全てしっくりきた。誰もが想定した対決が無く、住む世界の違う2人(松濤育ちのお嬢様と地方出身の慶應大学中退)の対面から邂逅を経たそれぞれの前進を、更に住む世界の違う雨男(慶應内部出身者)のラストまでの天候の変化と双方が東京の養分に成り下がらない過程と共に丁寧に描き切っていた。丁寧といえばブランド(シャネル ・カルティエ)の対比、音楽、エンドロールでの配役の表記とさまざまな箇所に行き渡っていた。
表記により分かるのだが聴き覚えのあるタクシー運転手の声は岩谷健司だった。石橋けい、師岡広明含めて山内ケンジ監督作品関連者の配置がある作品は気づくとハズレがないことが後でわかる。そして岡まゆみがあの岡まゆみだとようやく気づいたりもした。
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