メイマーツインズ

あのこは貴族のメイマーツインズのレビュー・感想・評価

あのこは貴族(2021年製作の映画)
4.2
《同じ空の下、私たちは違う階層を生きている》

Filmarksで評価が高く、フォロワーさんのレビューに惹かれて前々から観たかった作品。
U-NEXTで有料配信がいつのまにか始まっていた!(なんとレイトショーばりの1100円‼︎)
悩んだ末、奮発して(笑)初鑑賞。

見たいような見たくないような東京の現実がここにはある…
”血筋〟と”育ち〟で区分される絶対的な壁…
経済力だけでは認められず、成り上がりは入り込めない伝統と由緒ある世界。
江戸時代からの流れで、階層社会が根付いている東京は棲み分けができていて、上流階級と庶民では棲む世界が違うのだ。
特に慶応は階層意識が高く、受験で慶応大学に入学した者は外部生。慶応幼稚舎〜高校からの内部進学で上がってきた者は内部生。
慶応のOB会である三田会は、政財界のエリート中のエリートが集い、地方出身者にはとても遠い世界…

この物語は一章〜五章に分けられた構成が秀逸で、観る者をグイグイ引き込んでいく。
キャスト陣の主張しない抑えた演技が作品に気品を与えていて、幻想的な東京を感じさせる風景描写も素晴らしい。
ラストシーンの演出が印象的で、見つめ合う2人の笑顔に上流階級ゆえの苦悩が表現されているようだ。

自分のような地方出身者の庶民がどんなに頑張っても越えられない東京の”壁〟。
わかっちゃいるけど、いざ直視すると虚しくなるなぁ…(苦笑)
でも、やっぱり東京を嫌いになれません…(笑)

東京への甘い”幻想〟から覚まさせてくれる人間ドラマの傑作です!