本作ほど、個人的な体験とストーリーを照らし合わせながら、日頃の疑問を解消できた作品はない。以下、気づきをつらつらと書いていこうと思う。
「みんなの憧れで作られていく幻の東京」というフレーズであらゆるものが腑に落ちた。
東京だからおしゃれでなければならない。東京だから〜〜というものは個人の空虚な妄想なのだ。
みんな独自に<東京像>を決め込んでいるに過ぎない。<〇〇像>が多ければ多いほど自分の思考や行動を制限することになる。地方出身者はこうして東京の養分になっていくのだろう。
東京生まれと地方生まれ。貴族と庶民。本作は基本的にこちらの二項対立で描かれていくが、次は貴族と庶民について。
階層によって、<普通の人>は違うという話が出てくる。「普通って何?」とはよく聞くが、答えはここにあるのかとハッとさせられた。
階層によって、それぞれにしきたりがあって、基準が異なるのだ。幼少期はお年玉の金額で周りの友達とギャップを感じたなと思い出していた。故に、<ぴったりな人>が異なるのも当然。
「今日までのあらゆる社会の歴史は、階級闘争の歴史である(by マルクス)」と言われるように、人類は分断によって戦争を繰り返してきた。
他の階級の事情を全く知らずに人類はここまで来たのだろう。
本作にも描かれているが、どの階層にも一長一短がある。どの階層でも大切なものは変わらない。あとは、どの階層にでも苦しみがあることを知ることができれば、階級闘争が減るのではないだろうか。
最後に、分断を望む人はどんな人かを考えたい。
分断を望むのは支配者だ。なぜなら、分断化している方が統治しやすいから。
我々はいつだって分断される。女性の分断もそのひとつ。意図的な分断を気づていき、融和の一途を辿っていきたいものだ。