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あのこは貴族のクリームのレビュー・感想・評価

あのこは貴族(2021年製作の映画)
3.9
「富裕層」と「庶民」の対比が面白い。特に富裕層の世界は、知らないので楽しかった。内容は、華子は幸せ=結婚と思っているイタいお嬢様、理想の男性と結婚するが、思ってたのと違った。美紀は、大学進学を機に上京したが学費が続かず中退後、就職して何となく東京で生活している。交差する事のない2人が華子の夫になった幸一郎がきっかけで顔を合わせる。2人の女性が、それぞれ自分を探し、自分らしさを見つけて行くお話。誰かを悪く撮る事もなく、皆それぞれが自分のいるべき場所で何かを探してもがいている様子を流れる様に映し出す。舞台である東京を幻想的な映像で背景に組み込むセンスが素晴らしい。東京が幻っぽく見えて、本当に綺麗でした。



ネタバレ↓




お家柄の良い娘の華子にずっと違和感しか感じなくて、上流階級で育て上げられたロボットの様で幸せそうには、見えなかった。庶民どっぷりの私は、美紀の方が観てて安心するし、生きてるなぁと思えました。
逸子と美紀と華子が3人揃った時に険悪にならないのが、面白かった。これって幸一郎が、薄っぺらくて魅力がないからよね?
そんな幸一郎が、夢について聞かれて『俺は、まともに家を継ぎたいだけ』って言い放ったのが衝撃的でした。気の毒になってしまった。可哀想な男だなぁ。
この映画の魅力の1つは、自分とは交わらない人々の悩みに触れられる事。上流階級の人も大変で窮屈なんですね。
華子と美紀が、違う種類の人間から刺激を貰って、華子は、命を吹き込まれた様に元気になって行き、美紀は、自分のやって見たかった事に挑戦する。清々しい気持ちで終われる映画でした。新緑の季節にぴったりな1本だと思います。
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