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あのこは貴族のjamiのネタバレレビュー・内容・結末

あのこは貴族(2021年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

ずっと見たいと思っていた映画。U-NEXTで有料だったのが、いつの間にかネトフリでも無料に。ネトフリでランキング入りをしていた。果たして、見始めると止まらないほどに面白かった。

一年後の彼女を見て、美しい人だなと思った。結局のところ、気の強い連中に囲まれて、動物的な構造(子孫を残すことが資産家コミュニティの維持に不可欠)に人生を搾取されるだけの人生、それを捨てる、「選択」の物語だった。実家が太いことに変わりはないので、その選択自体は大したことではない。しかし、それによって守られた未来や時間、人生や心などが、とても美しいと感じた。

平手打ちは、富裕層を含めた上の世代の度し難さのメタファーである。生命力や創造性を失った人々に、未来はあるだろうか。没落は時間の問題だろう。彼らを繋ぎ止めているものは、あまりにも儚い。一言で言えば価値観、具体的には資産、裏返せば現実との乖離、有体に言えばマウンティング精神の振る舞い化である。

「選択」できなかった人物が一人いる。彼は歴史を背負っている。その責任を果たした上で、創造性と生命力を取り戻さねばならない。政治家の道でそれは難しいが、とにかく価値を認めていくことしかない。ある意味では「そう育った」のだし。「土のにおい」を良い香りだと感じるところに、彼のその能力の片鱗を感じる。「霞ヶ関に農作業を義務化」は養老孟司のアイデアだが、一つにはそういうことなのかもしれないが、これは物語なので、外の世界に価値を認められる二人が見つめ合うその先に、何かがあるのだ。

2人は何かを育てるだろう。ルーカスがディズニーに手を貸したようにはいかなくとも、ジョブズがピクサーを支えたようになら、何かを育てられるはずなのだ。あるいはもちろん家庭菜園だ。

そう言えば、この映画は眉目秀麗な男が2回捨てられる映画でもある。アナ雪以来のトレンドとも言える。そう考えると、あのビンタは、シンエヴァのバックハグくらいキモいな。

彼が実際に「再会」に弱いというのを我々は知っているので、最後の笑顔も然もありなんだ。お互い「運命」感じちゃってからに…。資産レベル(上位消費者か、下位消費者か。非常に下らない尺度)に関係なく、皆、こういうのに弱いのだ笑

本当に面白い映画だった。
ので、ベストムービーを更新した。家族を思うとき、アイアムレジェンドを外し、本作と少年の君を加えた。ベストドラマは設定できないんだなあ。
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