よしまる

イングリッシュ・ペイシェントのよしまるのレビュー・感想・評価

3.1
 90年代以降のアカデミー作品賞獲得作品の中で最もフィルマのマーク数が少ない…ことにも納得の作品。汗。

 イギリス人監督らしいアイロニカルな描写が幾つも見受けられるけれど、アメリカ的には普通のラブロマンスとして両手を上げて歓迎されたのではないだろうか。日本人としては、やはりここに美徳を感じるのはほぼ不可能と言える。

 なんの話かと言うと、まず主人公のレイフファインズ。「シンドラーのリスト」が有名だけれど、本作のミンゲラ監督が製作に名を連ねた「愛を読む人」の主役とは人物像がややかぶる。つまらない男という面でw

 その不倫相手にクリスティンスコットトーマス。監督と主役男女全員がイングランド🏴󠁧󠁢󠁥󠁮󠁧󠁿出身というのも珍しい(ただし製作国はアメリカ)。「フォーウェディング」と同じ頃なのかぁ。フルヌードですごく攻めた演技が良かったが、相手の性格がひどすぎて可哀想😢

 この二人の不倫劇を中心にお話は進む。
不倫そのものに善悪を問うとそりゃ悪いに決まってて、それよりも不倫に至るプロセスだとか、禁じられたが故の切なさだとか、背徳感とか、まあそんな他人の絵空事だからこそ楽しめて然るべきだというのに、そこが全然おもしろくない。ただの駄々っ子のオッサン、こんな男に惚れるなんてどうかしてると誰もが思うところだけれど、当の本人はオープニングからしっかり丸焦げという贖罪を受けているので、観てる方としても気持ちのやり場がなくてまぁまぁイラつくw

 そんな不快感を一掃してくれるのが日本でも人気の高いビノシュ。中盤まではビノシュが主人公と疑わなかったほどのミューズっぷりで、こんなナースは反則すぎるw

 途中から現れるミステリー担当のウィレムデフォーは猿回しに過ぎなくてなんだかもったいないし、取ってつけたようなシーア人とビノシュの淡い恋やサスペンスドラマは、たいして関係ないのに本筋よりよほど引き込まれ、こういうのに長い尺を取るあまりに何もかもが冗長に感じてしまった。

 結局のところ主人公のダメ男ぶりばかりが際立って、これらの人たち、あるいはコリンファースやユルゲンプロホノフといったほかの名優の熱演もすべてが空回り。
 「イギリスの患者さん(原題)」の痛々しいケロイドの姿も段々見慣れてしまい、逆に感情移入できるほど可愛く見えてきたかと思うと過去シーンのクズさで幻滅、これを2時間半繰り返す物語だった。

 唯一、砂漠の美しい風景は特筆したいところだけれど、陽を浴びた砂の立体感が集合体恐怖症のボクにはゾワゾワして正視できなかったので、前回に続き今回のレビューも皆さんゴメンなさい‼️