masahitotenma

イングリッシュ・ペイシェントのmasahitotenmaのレビュー・感想・評価

4.0
マイケル・オンダーチェの小説「イギリス人の患者」をアンソニー・ミンゲラ監督(脚色も)が映画化した絢爛たるラブ・ロマン。
原題:The English Patient (1996)

第二次大戦の末期の1944年、イタリア。
北アフリカの砂漠の飛行機事故で全身に火傷を負い、記憶の大半を失って"イギリス人"とされた男(レイフ・ファインズ)が野戦病院に運び込まれる。
戦争で恋人も親友も亡くして絶望にかられていたフランス系カナダ人の看護婦ハナ(ジュリエット・ビノシュ)は、彼を爆撃で廃墟と化した修道院に運び込み、一人献身的な看護を続ける。
やがて、謎の男は記憶を少しずつ取り戻していく。
その過程で、1930年代後半から1945年までのサハラ砂漠を舞台にした、人妻キャサリン(クリスティン・スコット=トーマス、夫はコリン・ファース)との情熱的な恋とその結末が徐々に明らかにされる…。

更に、修道院にやってきた、スパイとされる復讐に燃えるカナダ人(ウィレム・デフォー)と、
地雷処理班のシーク教徒の男(ナヴィーン・アンドリュース)も絡む。

“泳ぐ人の洞窟”
"モルヒネ"

「殺せないよ。とっくに死んでいる」

古典的でドラマティックなラブ・ストーリー、官能的なラブシーン、そして美しい映像(砂漠の風景、松明に浮かびあがる壁画、炎に照らされるフレスコ画など)がデヴィッド・リーンの映画を連想させる。
この作品で世界的にブレイクしたヒロインのクリスティン・スコット=トーマスともう一人のヒロイン、ジュリエット・ビノシュ(彼女も魅力的な演技を見せる)の物語を並行して描くことで、悲劇的な愛の物語は、愛する人を失った心の傷(運命)からの再生(新たな愛)へと繋がっていく。
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