自転車で走る。遠くへ行くために、逃れるために。僕しか知らない大切な記憶のために、前だけを見ていたいから。コース脇の応援には目もくれない、なんでかって？これは僕の人生だからだ。
後続には異様なまでに長く伸び、おびただしい色をもつ大蛇のような集団が足並みを揃えて迫り来る。
どうやら彼等は僕等を一人にはしてくれないらしい。いいさ、振り切ってみせる。乗り越えてみせる。艱難な人生に恐れず立ち向かおうじゃないか。
そして、空っぽだと気づいて、初めて空っぽではなくなるその時に、その先に、僕はきっと敬意を示すのだろう、目を背いていた過去のすべてへ。
だから、愛する、あなたを。生きる、あなたと。あの頃の僕とともにあの景色を静かに睨み続ける。
仮病の連絡いれて、親にも嘘をついて、ママチャリで知らない道をただひたすら走っていた中学生の頃の自分を思い出す。夕日がめっちゃ綺麗だったなー。
