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本気のしるし 劇場版のAPlaceInTheSunのレビュー・感想・評価

本気のしるし 劇場版(2020年製作の映画)
4.5
【とりあえずメモして後で整理】

仕事も卒なくこなし、社内の女性2人と隠れて付き合っている、器用な男、一路(森崎ウィン)。だがどうも一路は生きる実感を感じれず空洞を抱えているようだ。
しっかりものの先輩、尚子(石橋けい)と家でくつろいでいても、天然系の後輩美奈子(福永朱梨)とキスしていても目が空虚で死んでいる。

そんな一路の運命を変えるのが浮世(土村芳)。
常に危うさを漂わせ、隙だらけ(むしろだらしない)、不思議な魅力を放つ浮世。
本来の意味でのファムファタルであり、魔性の女といったところ。
一路は身体をはって浮世の命を救ったと思えば、浮世の借金120万円を肩代わりする。
理由は、ただ惹かれているとしか言いようがない。何をしていても気になるし、自分が守らないとちゃんと生きれない浮世に。

浮世にはまって行くことで、自分も一緒に破滅していく事になろうが、抗えない。浮世と一緒にいる事、浮世を守る事が生きる実感を与えてくれたいるかのよう。
(ど真ん中の人との恋愛にドはまりし、陶酔しすぎると、世の中の秩序や規範からはみ出してしまう様子が巧く描写されている。)


後半、立場が逆転し、姿を消した一路を浮世が追い求める展開。深田浩司作品のシグネチャーでもある反転。
一人で着実な生活をしながら一路を探し求める様子。浮世もまた一路によって自分の人生を生き直している事が表情から
ヒシヒシと伝わる。

終盤の2回目の線路踏切のシーン。
何事も卒なくこなす器用な一路と、不器用に周囲の人達に翻弄されながら生きて来た浮世。
正反対なようでいて、2人はお互いを愛する事で自分の生の充実を獲得する似た者同士でもあった。

北村有起哉が演じる反社組織のボス。この人物についてはじっくり考えたい。主人公二人の

深田晃司作品は「淵に立つ」「よこがお」に続き三作目。
画面のルック、美術、衣装がお世辞にもカッコ良いとは言えず、相変わらずインディー映画感が有り有り(本作はメ~テレ制作のドラマか)。
でも深田晃司さんが描こうとする何かを、ずっと追いかけていきたい。そう思わされるものを毎回提示してくれる。
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