亘

最高の人生の見つけ方の亘のレビュー・感想・評価

最高の人生の見つけ方(2007年製作の映画)
4.1
【人生の喜びを見つけたか?他人に喜びを与えたか?】
真面目な整備士カーターは、傲慢な社長エドワードと同じ病室に入院する。正反対の2人は同じ日に余命宣告を受ける。悲観的なカーターにエドワードは「やりたいことリスト」の実行を提案する。

余命わずかな2人が、人生を楽しむために世界一周の旅に出てBucket List(やりたいことリスト)をこなしていく。初めは乗り気ではなかったカーターがいつしか笑顔になって、さらには元々陽気なエドワードまで影響されていくのが印象的。

2人の出会いはある意味最悪。カーターは穏やかで家族の見舞いとクイズ番組を楽しみにしている。一方エドワードは傲慢で秘書をこき使い一人だけ贅沢している老害ともいえる嫌な奴。おまけにカーターの見舞いが終わると「患者の死因のほとんどは迷惑な見舞客」と言ったりカーターがクイズ番組を楽しむ邪魔をする。それでもカーターが優しく声をかけることで徐々に仲良くなり、いつしか仲間となる。

旅行では、初めエドワードが積極的。スカイダイビングのときもカーターがおびえてるのにエドワードはノリノリ。でもカーレースとかを経て次第にカーターも乗ってくるし時にはクイズの知識を駆使して旅先で豆知識を披露する。そして互いのためにリストの加筆修正をしたり次第に2人が親友のようになっていくのが印象的だった。

楽しそうな2人の旅の中でアクセントのなるのが、秘書の存在とそれぞれが抱える問題。秘書は有能だけど時折毒を吐くのが、老人の会話に少し変化を与えているように感じた。そしてカーターは、家に残した妻という問題を抱え、エドワードは数十年あってない娘という問題を抱えている。これらの問題も、互いに相手の問題を解決したいという思いが芽生えていく。

旅行中は楽しそうだったけど、今作が感動的になるのはアメリカ帰国後。2人は普段の日常へ戻る。カーターは家族団らんの時間を過ごす一方でエドワードは1人寂しく過ごす。彼らは[人生の喜び=非日常の特別な体験]という考えで旅に出たけど、実は人生の喜びは非日常よりも、日常とかいつもそばにいる人にあったんじゃないかな。カーターは家族に囲まれて楽しそう。一方エドワードは、秘書もいないカーターもいない家で寂しげだし、会社でもつまらなそう。もしかしたら2人は、旅の後で人生の喜びに気づいたのかもしれない。

カーターが倒れてからの展開はさらに感動的。あんなに嫌な奴だったエドワードが、カーターのために行動する。やりたいことリストはエドワードに引き継がれ内容を遂行。特に「世界一の美女にキスする」のタスク解決は一番印象的。そしてラストシーン、最後のタスク「荘厳な景色を眺める」が達成される。オープニングにもつながるシーンだけど、2人→エドワードと引き継がれたリストが秘書に引き継がれていたのは驚きとともに感動だった。エドワードは人に喜びを与えられてきっと天国へ行けたことだろう。

印象に残ったシーン:やりたいことリストをエドワードが見つけるシーン。2人が旅先でやりたいことリストをこなしていくシーン。エドワードがカーターの死後彼のために行動するシーン。カーターがやりたいことリストをこなしていくシーン。秘書がリストを完成させるラストシーン。

余談
原題"The Bucket List" は「バケツリスト」という意味で、「死ぬ前にやりたいことのリスト」の意味です。
亘