楽しむ道を最後まで見つけられなかった。ホラーにしては怖がらせ方が昭和のお化け屋敷みたいだし、それならそれでC級感で笑いの方向にもっていくこともできそうだったけど笑わせてももらえないし、妖怪人間の話って人間ドラマのほうに振りやすそうなのにそっちも何ひとつ組み立ててくれない。
『前田建設ファンタジー営業部』みたいに、昔の名作と向き合う今の若い人たちの姿をいい感じに描いてくれるなら面白いだろうなーと思って観に行ったんだけど、まったくそういうのではなかった。
広告代理店社員(主人公、なのか?)が病んでいく描写、ホラーとまったく別種の怖さと腹立たしさが煽られて、とても嫌な気持ちになる。こんな話にしてしまうんだったら女子高のくだり必要だった? ミミズどこから集めてきた? 傘が鋭利だね? いじめ三角関係ホラー百合は『ミスミソウ』だけでいいよ。ミミズは『なるたる』だけでいい。
森崎ウィンさんや桜田ひよりさんや清水尋也さん、みんな確かな演技力を発揮していたんだけど、脚本や演出がちぐはぐで、巧ければ巧いほどむなしかった。劇中アニメは雰囲気あってかっこよかったよ。もったいなかった。悲しい気持ちで劇場を出て街をぐいぐい歩いて帰った。