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マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙の655321のレビュー・感想・評価

3.0
この映画はイギリスの新聞に「何が言いたいのか分からん」と書かれるくらいどう観たらいいのか分からない笑
でもそれじゃあ面白くないので、見当ハズレかもしれない考察をする。

まず認知症のサッチャーが過去を振り返る作りにしたのには必ず意味があると思う。

これはサッチャーの迷いなんだと思う。
サッチャーは実在する人物だから本人も観客も結末は知ってるわけで、認知症の形をとることによって過去を再検証、追体験している。
鬼の目にも涙ならぬ鉄の女にも涙。

夫デニスからは「落ち着いて」と励まされながら、首相となってからの初コメント。
“争いのある所に調和をもたらそう。
過ちのある所に真実をもたらそう。
疑いのある所に信仰をもたらそう。
そして絶望のある所に希望をもたらそう。”
囲んでいた記者たちが遠のいていくのを俯瞰で見せる。
彼女は毅然とした面持ちで一人歩き出す。

きっと彼女にとってデニスは調和であり真実であり信仰であり希望だった。
現在では幻覚となったデニスが彼女の元から去る時に言う。
「落ち着いて。君は一人で生きていけるよ。今までもそうだった。」
目覚めた彼女は以前デニスに励まされた時と同じく毅然とした鉄の女に戻っていた。
そしてこの映画の最後の台詞。
「どこにも行かないわ」

長々と書いてしまったけど、この映画は要するに、迷いもあったけど彼女はやっぱり『鉄の女』だったと言いたいんだと思う。この映画の焦点はタイトル通りであったという身も蓋もない結論で締めくくります。
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