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青春の殺人者のLATESHOWのレビュー・感想・評価

青春の殺人者(1976年製作の映画)
3.8
青春地獄。

自らの青春を殺した
若き日の杉下右京は
焦燥に悶える親殺し。
出演者は相当追い詰められたんじゃなかろうか。
衝撃で始終体が震えっぱなしだった。
アタマの中でDoors「The end」が爆音で鳴っている。
(音楽ゴダイゴだけど笑)
雨の成田と夏祭りの商店街を
彷徨する水谷豊の
匂い立つような混乱、焦燥、後悔の饐えた熱気。
じゅんちゃんじゅんちゃんと白痴めいて泣きわめく原田美枝子。
しばらくは市原悦子の顔も見たくない!
トチ狂った話をヒステリックに言い出して
息子の水谷豊に言い寄る顔が気持ち悪くてもう...。
シュミーズ姿の生臭い狂気。
長谷川和彦監督が解釈した
日本特有の陰湿なオィディプス。
演出と画の全てがギャグすれすれにギラついてて
時代の虚無感が真空パックされてて...あらん限りの熱量をぶつけられてゾクゾクする。
若者たちが青春を満喫する夏の浜辺で
どうしてこんなことになったのか、どうすりゃいいのかと
破滅が追いついてきて悔やみ嘆き怒るシーンの悲哀。
親離れ、親殺し、しがらみからの脱却、逃亡。
ヤってやったぜ、俺は独り立ちしたぞー!と
血まみれで叫んでいるのに
誰も見向きもしねえでやんの。
それよりこれからどうしよう...。
青春地獄の夏の夜。
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