柊

アンモナイトの目覚めの柊のレビュー・感想・評価

アンモナイトの目覚め(2020年製作の映画)
3.3
この監督のテーマはこれひとつなのか?
まぁ良いけど、それではいざ鑑賞。

単館系の作品ではあるけど、完成度は高し。「燃ゆる女〜」よりも更に円熟度が増したような作品。で、好きか嫌いかで言ったら好きではないなと思った。
年齢も環境もましてや何と言っても階層が圧倒的に違う2人の女性がさびれた寒村の浜辺で愛を紡ぐ。化石を掘りおこす中年の女性と妻以外仕事がなく夫からもほっぽり出された鬱気味の若いシャーロット。

メアリーは女性故に素晴らしい化石を発見してもその功績は全く無視され観光用のお土産で食い繋ぐ日々。シャーロットは彼女の悔しさや苦労も理解してくれたはずなのに…やはり階級の違いからくる幸せの尺度は同じではなかったのか。

メアリーがアンモナイトの眠る浜から離れた場所に生きがいなぞ見つけられるはずもないとはスクリーンのこちら側は誰もが思う事。

監督の容赦ない描写にこれ程の女優達が挑む。お互いあまり感情を出さない演出故に本能が目覚めた時の描写はそこまで見なくてもいいなとも思った。
寒々しい海岸と荒々しい波。女性が自分の意思で生きるには時代がまだ許さない。何とも窮屈な衣装で仕事で、浜に出て、崖に登り化石を掘り起こす。汚れた手をスカートの裾で無造作に拭く動作が、い煩わしいと言っているようだ。
柊