KnightsofOdessa

Red Soil(英題)のKnightsofOdessaのレビュー・感想・評価

Red Soil(英題)(2020年製作の映画)
2.0
[赤い大地は不正の証拠] 40点

カンヌ・レーベル選出作品。父親のコネで彼が労組代表を務める工場で産業看護師として働き始めたヌールが工場の不法投棄に気付く話。『エリン・ブロコビッチ』や『Dark Waters』と比べている人もいたが、本作品の主人公は弁護士ではなく産業看護師なので、分けるならそれらの前段階に相当し、普通なら冒頭で描けちゃうことにドラマを(無理矢理)見出していく構造になっている。そのため、内容が90分とは思えないほど薄い。問題を調査/告発するかしないか、という対立は従業員の仕事を守るべく沈黙を選ぼうとする父親と、従業員の健康と社会的正義のために調査/告発を選ぼうとする娘の対立として肉付けすることで辛うじて長編映画の尺を成立させているが、双方の主張が感情に基づいているので議論が全く成立せずひたすらイライラする。しかも、親子の対立は企業と弁護士という構図より圧倒的にディスコミュニケーションへと発展しやすいために、途中から議論すらなくなる。これを映画祭に出すか…それに出すならカンヌよりベルリンっぽいけどなあ…と尽く残念な映画。一つだけ教訓が得られるとすれば、偉いやつ/力のあるやつに擦り寄っても何も良いこともなく利用されるだけということ。
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