竜どん

アンチグラビティの竜どんのレビュー・感想・評価

アンチグラビティ(2019年製作の映画)
2.7
『ワールドエンド』等々気が付くとロシア作品が封切されてる昨今。ゲーム画面の様なサービス精神旺盛なVFXを開始直後から惜しげ無く披露。案外自分が見たい世界を今描いてくれてるのは露なのカモ。

コンセプトはちょっと『インセプション』ぽいけど、サルバドール・ダリの『記憶の残滓』の光景をエッシャーっぽくXYZ軸を交錯させ、より不確定で混沌と表現した本作の方が人間の記憶世界の描き方としてはシュールで好み。シナプスを模した世界連結もエッジが効いてるし死神(リーバー)の造形・存在説明も納得できるし面白い。
後半戦闘が特殊能力主体に変わっていき、アンチグラビティなアクションが無くなっちゃうのは残念(息切れ?)。折角創生した荘厳な島や白亜の城なんてエッシャー的アクションにピッタリな舞台だと思うけどなぁ。各々の能力も何か地味だし特殊能力設定主人公だけでも良かったんじゃないかな?
散りばめた伏線を破綻無くキッチリと回収していくトコロは好感が持てるけど、ラストはちょっと尻つぼみ気味。目覚めた主人公に待っていたのは結局何も解決していない現実。
記憶の世界・想像の世界に救いを求める人々の姿は厳しい現実世界へのアンチテーゼか。


追記
敵役として投入されていたファントムだが、分かり易い嫉妬したり人間ぽいところが可愛くって結構好き。
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