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ラヴ・アフェアズのfujisanのレビュー・感想・評価

ラヴ・アフェアズ(2020年製作の映画)
3.7
JAIHOを一旦解約することにしたので、観たかった映画を駆け込みで視聴。

2020年 フランス版のアカデミー賞であるセザール賞で主要13部門にノミネートされたラブストーリー。

「ラヴ・アフェアズ Love Affairs」 とは、恋愛関係、情事、色恋の意味。そしてこの映画は、まさしく Love Affairsな映画でした。

個人的には、フランス映画で男女の目線がしっかり合っていると、その後どんな関係であってもセックスするとしか思えないし、実際大体その通りになると思っているのですが(かなり乱暴😎)、

この映画は、不倫や浮気、略奪愛、二股関係、失恋と復縁など、およそ全ての恋愛要素が10人近くの登場人物の間に全て盛り込まれており、さらに仕事シーンや食事シーンなど、恋愛要素以外のシーンは殆ど無いっていう、Love Affairsっぷりでした。

とはいえ、これが単なるエロ映画にならないところがフランス映画の見事なところで、フランスの田舎の美しい風景や名優たちの情感あふれる演技、ピアノ音楽によって、上質の映画として完成しているのが不思議です。


ストーリーは、作家志望の青年マクシムと、いとこの妻で妊娠三ヶ月のダフネとの間で交わされる会話劇中心に物語が進行。愛情をテーマにした小説が書けないマクシムのために互いが経験した過去の恋愛話を語っていくうちに・・・(てんてんてん)、という話。

・・・映画「エッフェル塔」の時にも書いた気がしますが、フランスの人にとって恋愛とは人生そのものなんですね。。😎


さて、映画前半はダフネとマクシムの会話の中でオムニバス的に様々な恋愛模様が描かれますが、後半は一転してシリアスな展開に。

ダフネの夫、フランソワは元妻ルイーズと離婚してダフネと結婚していますが、離婚の原因は元妻の浮気でした。その頃すでにフランソワ自身もダフネと不倫関係でしたが、これ幸いと妻と離婚し、ダフネと結婚します。

が、本当の離婚原因は違っていたのです・・・となると、どんでん返し展開を想像しますが、この映画に殺人や驚くような波乱が起きるわけではありません。

ただ、新たに分かった事実によって、一見固定されていたかに見えていた人間関係、恋愛関係が、まるでドミノ倒しのように再び動き出していきます。

そしてエンディングは、、、どんでん返しでもなく、スッキリでもなく、余韻を残す大人の女性による物語の締め方でした。しびれるわー。。


最後に、劇中で哲学者が語る言葉。

”人間が愛と思う感情は愛ではないことが多い
 人間は所有欲と嫉妬を愛の証拠と考えるが
 復讐や殺人は愛とは無関係だ

 真の愛は他者の幸運だけを求め
 所有を求めない
 何も所有しない”

この映画は、気高く美しく、強い女性たちが印象的な映画でした。


余談:
さすが尖った映画を紹介してくれるJAIHO。また観たい映画が溜まったら契約しますね。




2023年 Mark!した映画:150本
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