misty

Summer of 85のmistyのレビュー・感想・評価

Summer of 85(2020年製作の映画)
4.0
出会ってから永遠に別れるまでの6週間、眩いばかりの夏と熱情、突き上げてくる波音と音楽。
日焼けした肌の赤みは恋の色。
10代にしか訪れない激情が彼らを走らせてゆく。スピードの向こう側へ、恋に恋した自分の向こう側へ、君との誓いを守り、君の姿を永遠に書き留めながら。

彼らのファッションや音楽、ざらざらした映像はすうっと80年代へ連れて行ってくれる。カセットテープとヘッドホン、タイプライターの音、時代に取り残された音たちはそのまま永遠の10代の中にいる彼らのようだった。
傷は生涯残るだろうか、10代ならそれすら忘れてしまえるだろうか。
全てが儚い日々。

「君の物語じゃない」ときっぱり言われてしまうの、オゾンらしくて清々しい。誰の物語とも同化させてやらない、これは僕だけの物語と視線を合わせてまで伝えてくる彼らの自己愛と独占欲よ。
エゴに満ちた彼らの恋愛を鑑賞する自分の居心地がちょっと悪くなる、眩しい恋にもオゾン流の毒を感じるニクさ。
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