あやぽん

Summer of 85のあやぽんのネタバレレビュー・内容・結末

Summer of 85(2020年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

君の名前で僕を呼んで、に近い話なのかなあと思ったら最初からダヴィドは死んだ体で話が進んでいくし、仲良かった頃、死んだ後が交互に描写されるの素敵だったな。

直接的な性描写もなかったからこっちの方がよりリアルに感じられた気がする。
二人が出会って仲良くなって恋をして、アレックスはダヴィドこそが運命の相手、理想の親友って思っててずっと一緒にいてそれでも足りなくて…って感じなのにある日突然「飽きた」って振られる。
癇癪を起こして出て行ったアレックスをバイクで追いかけた先でダヴィドは交通事故に遭って死ぬ。
ラブラブの絶頂ではなく、一番嫌な永遠の別れで胸が苦しかった。
飽きたって告げた時のダヴィドが泣いていたのと、エンドロールの歌詞からして本当に飽きたわけではなかったのかな…このままではいけないと思ったのかしら。
それとも魔がさしてケイトと夜遊びしたけどやっぱりアレックスの方がいいと思ったのかな。

どっちにしろダヴィドが死んだことに変わりはなくて、その後のアレックスはどんどん狂っていく。
死だけではなく、失恋した後の人もこんな感じなんだろうなあと思わされた。
ケイトの「あなたはダヴィドの顔と体を好きになって、心も理想の相手だと思い込んだ。あなたの好きなダヴィドは幻想よ。」が辛いけどその通りだと思ったなあ…
たしかに相思相愛に見えた2人やけど、なんで二人とも遊びじゃないと決めつけられたのかしら。
辛いね、でもそれが恋ってやつだなあ。

遺体を見て飛びついてしまったのも墓を掘り起こそうとしたのも全部好きだったから、置いていかれて悲しかったから、怒ったから、1人にしないでほしかったから、最後くらい自分だけを好きな状態でいてほしかったから…

死んだ後ダヴィドの店に入って目を閉じると彼にキスされている情景が浮かぶシーン号泣だった。

ダヴィドは結局相手を試してたんじゃないかなあとここまで書いてて気づいた。
誰かを失う悲しさは父を亡くした時に嫌というほど味わっていて、もう誰も自分から離れていってほしくなくて、だから自分から突き放すような真似をしてしまう。
それでも好きだから一緒にいたいと言ってほしいだけなのにいつも怒らせて離れていってしまう。
大好きな相手が離れていくのが怖くて依存したくなくてふらふら遊びまわって結局失っちゃうんだろうなあ。
今回はアレックスが出て行った後に、こいつだけは失ったらだめだと思って必死に追いかけたんじゃないかな、アレックスなら引き止めてくれると思ったんじゃないかな、そして死んじゃった。

私もいなくなっちゃいたいなあ、ダヴィドみたいに相手を失うのが怖いしもう誰にも依存したくないし好きになりたくないし好きになられたくもないからある日ふといなくなってしまいたいなあ。
あやぽん

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