Kolophon

アナザーラウンドのKolophonのレビュー・感想・評価

アナザーラウンド(2020年製作の映画)
4.1
「中年男性の危機」を描いた作品はそんなに好みじゃないんですが、今作品は社会風刺要素が強く、演出、配役も見事で流石ヴィンターベア、という感じでした。

共同体から爪弾きにされないために必死でもがくおじさん達の姿はとても痛ましく、アルコールで限界を超える刺激を肉体に与え続け、耐えきれぬものは容赦なく放り出される。

アルコールは共同体の神話を温存する為の装置で、振り回される周囲の者も、呆れながらも必要悪として受け入れざるをえない。

唐突な印象のマッツのキレキレダンスは夢幻的で、身体が社会の要請へと応える為に劇中のキャラクターの表象的な存在を飛び越えることで主題の冷徹さを引き受けているようで、象徴的。

トレーラーでも使用されている楽曲'What a Life'が投げやりな歌詞も相俟ってこれ以上ないぐらい映画に合っている。
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