あっかんべー

アナザーラウンドのあっかんべーのレビュー・感想・評価

アナザーラウンド(2020年製作の映画)
3.7
「人間の血中アルコール濃度は常に0.05%が理想らしい」

映画館で観に行ってきた。
もうタイトルからアル中になる展開が予想される。
けれどもただ単に「酒に飲まれるな、人生狂うぞ」という映画だったかといわれると全くそうでは無い。こちら側の人生観を問われる映画だった。
見ればわかるのだが冴えないオッサン4人組の平凡な日常を見せつけられる序盤は何のワクワク感も無いので退屈。それはつまらない授業の様子を見せつけられているのだから当たり前なわけだけど酒が絡むとそれまで見ていた日常がガラッと変わる。
ここにある種のカタルシスを感じた。つまり誰しもが抱く変身願望をありふれた酒というモンが叶えてくれる、という夢みたいな話に酔いしれた。

┈┈┈┈┈ネタバレ┈┈┈┈┈


というのもつかの間の話で、夢はいずれ覚めるもの。
覚めた瞬間が1番怖いということをこの映画はよく知っている。監督は空気感をガラッと変えるプロだと思う。
後半のしっとりとした空気はまるで二日酔いの朝。

「酒によって幸福は得られない。幸福な時に飲む酒は至福だ!」そんな一本。
そして本来の自分の人生とは何だろうと考える時間が生まれる作品。

とにかくマッツ・ミケルセンの見せ場を大スクリーンで見る価値アリ!
あっかんべー

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