ゆず

アナザーラウンドのゆずのレビュー・感想・評価

アナザーラウンド(2020年製作の映画)
3.8
コントロールできないものには、非常に美しい善良さが宿っている。例えば、何かにインスパイアされることはコントロールできない。道徳心なんかも、自分ではコントロールできないもののひとつ。偽ることはできても、コントロールすることはできない。恋ともなれば、完全にコントロールを失う。そしてこの映画は、その“コントロールできないもの”のための闘いを描いた作品でもある。「自分を忘れる」ということが幸せに繋がると思っている。常に自意識を働かせて、自分自身を“測る”ようなことをしていると、不幸になってしまう。
飲酒の破滅と美しさ
もうひとつの重要なテーマとして、「若さと老い」がある。若さゆえの軽妙さ、そしてそれを老いとともに失っていくという大きな喪失感を描いている。
「青春とは? 夢である。愛とは? 夢のなかのものである」

「その男ゾルバ」(1964)のエンディングで、浜辺でダンスをするが、それは「美しくも悲劇的な結末」と表現されている。本作の終わり方にも同じようなものを感じている。軽妙さを表現したかった。主人公たちが若者と一緒に踊って若返る魔法のような瞬間。それでも、誰かが亡くなってしまった。恍惚感と悲しみが入り混じったシーン。
 ある哲学者の「人間は血中に十分なアルコールを持たずに生まれてきている」という考えを盗むことを思いついた。チャーチルが25万人の市民を戦争に送り込んだ時に、少しお酒を飲んでいたのではないかと、よく話していた。
16歳未満でも家にある酒を飲むことは法律違反にはならない。
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