古代ギリシャの哲学者アナカルシスの言葉の言葉を借りるなら
「酒の一杯は健康のため、
二杯は快楽のため、
三杯は放縦のため、
四杯は狂気のため。」
まさにこれだった。
しかし紀元前から酒に魅せられこんな言葉残す人類って…笑
ちなみに日本で「お酒」にまつわる…と言えば「ワカコ酒」とか、私が勝手に"我が師"と慕う吉田類が凡そ適正なのではと思っているのだが、デンマークから届いた酒にまつわる作品は大胆不敵で思わずニヤリとさせられる。しかし私が気に入ったのは、その背後に潜むそれ以上の…中年男性方の苦悩の悲喜交交が語られる物語にこんなに共感しようとは。
思わず咽び泣きそうであったくらい。(でも泣かなかったのは、自分の内心とのギャップに驚き、引いてしまった故…)
先ずプロットからして歓喜の祝杯をあげたくなってしまう。
ノルウェー人哲学者曰く、「血中アルコール濃度を0.05%で保つと仕事の効率が良くなり想像力がみなぎる」という理論を証明するためマーティンと同じ境遇に悩む同僚達と実験をする…ことシンプルな出立ちが極めて明快に事運びながらも人間の繊細さや喜怒哀楽…寧ろ生きることで隣り合わせなのだと改めて認識させられる彼等の言動、身を呈す日々の縷々。
アカデミー賞も納得だった。
これを見る前までは
映画見終えて帰宅したら家でお酒を楽しもう!
なんて思ってた。
だけど、そんな安直な感情など吹き飛ばすくらいに人生とはまさにジェットコースターの様な昇降が激しくて、それくらい酒と人生と愛について語った傑作だった。
(なんか河島英五みたいだな)
作品のキャッチフレーズ「人生に祝杯を」これに尽きる。
今やコロナ禍で、いつになればマスクや密に悩む事など忘れて呑めるのか。
そんな先が見えぬ今だからこそ、沢山抱えた荷物にしんどくなった時は迷わず泣けばいい、吐けばいい、苦しんだ先には色んな答えが出るだろうが、時には呑んで忘れるのもいい。
そう諭す様な優しさが映画から伝わる。勿論、私の肩の荷もなんだかすっきりさせてくれた。