これだけ悲惨な運命を背負った語り部が、今も生きている。そしてこの映画が作られるのはとても価値のある事だと思う。何年も秘密を隠し通すのは本当に難しい。世界は広く、自分を認めてくれない都会も、最高になれる隠れ小屋もある。時に人生は美しい。それを身をもって体感するドキュメンタリー。
最近、待ち構えていたかのように戦争による悲劇を描いた映画の公開が多い。今作の舞台は、a-haやヴァン・ダムのいるそう遠くない過去の話でゾッとした。アミンが同性愛者である事を除いても彼の経験した生活は悲惨すぎる。そして、子供ではいられない。責任の話が出る度に、子供心に怖くなる。
インタビュアーの「死にかけただけで、死んだのではないよね？」という質問で少しほっとする瞬間、偽造パスポートの話をする大人が少し親切に観えてしまう瞬間。アニメで描くからこそ再現の場面も多いし、声優も当てられているので100%の事実が映されている訳ではないのかもしれないが、必ず映画性に昇華されている。反芻される過去の死体と、現実に繋がるラスト数秒だけはリアルが映される。
