RYUYA

FLEE フリーのRYUYAのレビュー・感想・評価

FLEE フリー(2021年製作の映画)
4.0
アフガニスタンを亡命した青年の壮絶な半生と、ゲイとして生きることの物語、のドキュメンタリー、のアニメーション。

自分も(素人レベルだが)アニメを描いたことがあるから分かるけど、残酷な出来事も、アニメーションで描くと一個ボカシが入って柔らかくなるというか...。逆に『火垂るの墓』くらい残虐性に特化して作らないと実写以上の迫力は持てないし、ポップさとそれってまず両立できないと思ってたが今作。見事に両立してました。亡命の描写の残虐性、恐怖が強くありながら、a-haのテイクオンミーから始まるポップさも最後まで兼ね備えてたのはマジですごい。実際のニュース映像を挟むタイミングとかも、マジで優秀。監督、超うまいわ。「何十人もの難民が亡命船に押し込まれ、荒波に揺られて吐く」って描写があったけど、吐瀉物とかを描かなかったのがアニメとして大正解だった。

これまで観たドキュメンタリーでは、ある人物が過去を語るシーンで決まってイメージ映像、というか当時の記録映像みたいなのが流れて間を埋めるが、この技法だとアニメでドラマチックに再現できる。やはりこれは強いし、似たような映画が今後出てくると思う。ナイスアイデア。

ただ一点。アニメーションにしては作画数が少なすぎた。ああいうカクカクの違和感は、取れるまで結構時間かかるから勿体なかったな〜と。でもまぁ、ダフトパンクのシーンがマジ最高だったからいいか。
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