great兄やん

FLEE フリーのgreat兄やんのレビュー・感想・評価

FLEE フリー(2021年製作の映画)
4.3
【一言で言うと】
「平穏なき“避難”」

[あらすじ]
幼いころに父親が当局に連行されたため、アミンは家族と共に故郷のアフガニスタンから命からがら脱出する。やがて家族は散り散りになり、単身デンマークに亡命して30代半ばを迎えたアミンは、男性の恋人と結婚しようとしていた。彼には20年以上誰にも話せず抱え続けていた秘密があり、あるとき親友である映画監督の前で自身の体験を語り始める...。

劇場鑑賞100本目である今作。なんとか7月中に100本は達成しました笑
個人的にも去年とペースを変えずにコンスタントに劇場に足を運ばせていたつもりですが、まさか去年の記録を更新してしまうとは(^◇^;)...今年中に200本はかなり厳しいけど、なんとか頑張ってみます笑笑

というわけで今作のレビューですが、ハッキリ言って今まで観るのを渋ってた自分が馬鹿に思えるくらい素晴らしい映画だった。
個人を特定されないようアニメーションで“加工”を施されており、アニメ映画でありドキュメンタリー映画でもあるという非常に独特な立ち位置にある今作だが、その“匿名”の要素をアニメーションで補うという発想の転換がとても斬新で全く違和感を抱かなかったですね🤔

そんな中で語られるアミンの過去の生い立ちがもう予想以上に壮絶で、この“真実”を公開するのにどれだけの時間と“覚悟”を費やしたのかという長い苦しみが、赤の他人から見ても充分伝わってくる。

過酷な密入国までの経緯、そして家族を苦しめたモスクワでの暮らし、特にこの時のロシア警察の“愚行”には衝撃よりも先に怒りが込み上げてきた。
やっぱロシアはクソだってのがハッキリと分かりますね(^◇^;)...あんなの職権濫用ってレベルじゃねぇぞオイ!!😤

それに故郷を追われ、たとえどの国に行こうとも“平穏”はなかなかやって来ないという難民の無情な立ち位置を突き付けられますし、その中で如何に家族以外の“他人”に心を開けれるか、その当たり前が“賭け”として接しなければならないという世知辛さに思わず胸が締め付けられましたね😫

ましてやアミンは同性愛者という家族にも心を開け難い“問題”も抱えてるもんだから...ちなみにその点に関してはあまり問題は無かったのだが、やはりアミンに完全な平穏がやってくる日はいつになるのやら、まだ定かではない“不安”をも感じました😔...

とにかく逃げ続けた、避け続けた人生に本当の“故郷”はやってくるのか、その行く末に一抹の不安と一縷の“希望”を見いだす一本でした。

タイトルにもある“FLEE”とは“逃げる、避難する”という意味であり、決して“自由”という意味の“FREE”ではない皮肉にも絶妙なニュアンス。

アミンにとって、今はまだ平穏な生活を保てるかもしれないが、いつまた“避難”しなければならない不安が無くなるよう、今はただ祈るばかりですね🙏...