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FLEE フリーのyのネタバレレビュー・内容・結末

FLEE フリー(2021年製作の映画)
4.8

このレビューはネタバレを含みます

父が消息不明になり、残された家族は祖国で居場所を失い難民として逃げる。壮絶な難民生活の中でアミンは同性に魅力を感じていることに気が付き、勇気を出して自分のセクシュアリティを話す。嘘偽りない自分でこれからどんな人生を歩んでいくのか。

アニメーションとアーカイヴ映像が合わさっている本作は、インタビュー形式で進んでいく。船のシーンで嘔吐をしている人や体調の悪い人がいたとアミンが話していたが、そのシーンは直接的に描かれておらず画面を見やすい工夫がされていた。
白黒ドローイングのシーンでは人の細かい描写はされていなかったが、描かれていなくてもどんな感情を持っているかを想像することができ、いい余白だと感じた。また、警察の事情聴取でアミンが指示された嘘を言っているシーンでは、自分の嘘が文字になって自分の体を支配していく。その黒色がこちらに迫ってきて、絶望感を感じさせ、没入感を与えている。
でも、コミカルな音楽を聞くシーンが随所で出てくるのは、絶望のどん底にいても希望を捨てていないからであろう。アミンが様々な困難を乗り越えているので忘れていたが、同い年くらいの難民とこっそり音楽を聞くシーンを観てそういえばまだ子供なんだと再認識し、私だったら彼の体験した不安や恐怖に耐えられるか、と想像してしまった。

アミンは自分がゲイだということを周りに話して、恋人と新たな人生を掴む。嘘で包まれてしまった自分から解放され、本当の自分で講演会の壇に立つ。
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