のほほんさん

エージェント・スミスののほほんさんのネタバレレビュー・内容・結末

エージェント・スミス(2019年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

ヒューゴ・ウィービングではない(笑)

実話だそうで、エンディングで当事者が出てくる。

しかしこの作品、少し前の時代であれば「優秀な男が出来心で女と関係を持ったばかりに破滅していく物語」として描かれていた類いなのではないだろうか。
本作では、これを女の側を中心に描いている。そして彼女はいわゆるファムファタールでもないし、何よりも男に殺される被害者なのである。


流れを一つ一つ思い出してみると、やはり捜査官の男の卑劣さが際立つ。
彼とて1から10まで彼女を利用した訳でもないだろうし、彼なりの良心の呵責なんかもあっただろう。
しかし、彼女の置かれた苦境を知り同情もした上で彼女と関係を持ったこと。そして彼女が手に負えなくなってきたことでその関係を切ろうとしたこと。さらにそれを経てもなお彼女を利用して強盗事件の証人にまでしたこと。彼女を利用するだけ利用して、自分は結局栄転していったこと。そりゃずっと黙ってるよりはマシだけど、罪の告白なんかも結局一つの自己満足の様に思える。

最初に彼女を情報提供者として仕立てた時の様なドライさ。これがむしろプロとしての仕事ぶりであり、それをずっと保っていたのならば彼女と一線を越えることもなかったろう。


じゃあだからといって主人公の方が悲劇のヒロインとしてその同情を一身に浴びるような存在か?というとそれにも違和感がある。
もちろん彼女の置かれた境遇や、そこから逃れようにも逃れられない状況、そしてそれ故に犯罪に手を染めるといった苦境は全くの不幸である。そこで彼にすがりたくなる気持ちも分かる。
しかし彼女もまた、結局のところ自分の事しか考えていない人間だと思う。家庭のある彼を独占したいというのも独りよがりだし、子供たちのことを気にかけている様子も見えない。



別れたのに一緒に住んでいるろくでなしの元夫がジョニー・ノックスビル。
ろくでなしの捜査官は高慢と偏見とゾンビのウィカムさん。
主人公はハン・ソロのキーラ。
意外と色々出ているな