Kaz66

人数の町のKaz66のレビュー・感想・評価

人数の町(2020年製作の映画)
3.6
さすが宇野維正さんの同級生…(荒木伸二監督)、今の社会性(問題)を抉った(ホントにあるんじゃないかと思わせる)、世の中で“フツウ”に生きる事が出来なくなったヒトが誘惑されて集う、奇妙な『町』を舞台にしたディストピア・ミステリー。
その『町』は、衣食住が保証され、享楽に耽ることもでき、出入りも自由だが、入る時に埋め込まれたチップにより決して離れる事は出来ない…。
戸籍や名前・社会的過去を捨て、個としての人や自我が薄くなり、人の集まりが『人数』に変わっていく様、そこから抜け出し個を取り戻そうとする様が描かれる。
主演の中村倫也・石橋静河がさすがの演技だったが、なんと言ってもこの映画の空気を創り出してるのは、荒木監督の脚本と、撮影監督の四宮秀俊さん(きみの鳥はうたえる/ミスミソウ/宮本から君へ)のヒリヒリ・ザラザラした映像だと思う。
ラストはなんとなく読めてしまったが、50才にして初監督(それまではCMやMVのプランナー)でこのクオリティは凄まじい。荒木伸二さんの“映画が好きだ、映画を撮りたい”って思いが滲み出てるような作品でした。
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