ちろる

人数の町のちろるのレビュー・感想・評価

人数の町(2020年製作の映画)
3.3
借金まみれで人に追われ、居場所のなくなった主人公蒼山に声をかけた謎の男に助けられて、ある町に行くことを勧める。
その町は、完全に身を隠すことができ、衣食住が保証されるという。
しかもSEXし放題、仕事もしなくていいユートピアのような町。

蒼山は選択肢もなく言われたバスに乗り込みその町を訪れる。
パーカーを与えられ、無機質な部屋がある以外はなにも強制されないが、不思議な町には不思議な掟がいくつもある。
「世にも奇妙な話」にありそうなお話である。

ユートピアかと思ったけど、全体的に無機質で、遊ぶところもプールしかないようなディストピアのような雰囲気。
衣食住が確保されてるとしてもここで一生を過ごすのは息苦しい。

蒼山ももちろんここの不気味さに薄く気がつくわけだが、他の人々があまりにしっくりとこの生活に馴染んでいるのが謎だ。
蒼山のように普通の生活がたまらなくなったという事情があるのだと思われるのに、そのような人々が一定の秩序を保って生きているのもまた不思議である。

「人数の町」と、あるように人数で管理されている以外、なぜこんな大量の人を管理できるのかも明かされず、それでも次から次へと人が追加されるということは、もしかすると「わたしを離さないで」のような無慈悲な事が行われているようなそんな危険性まで孕んでいるような気もする。
そうでないと辻褄が合わない。

ストーリーは、盛り上がりにかける。
人数の町自体も設定は悪くないのに、意味不明な部分が多すぎる。
途中、石橋静河演じるヒロインが出てくるが、彼女は行方不明になった妹とその娘を探しにきたといい、蒼山にとって初めて出会う「この町に違和感を感じる人間」であった。
でも彼女はずっと探していた妹に拒絶されると意外にあっさりと連れ戻すことをあきらめる。
なんじゃそりゃという感じ。

ハッピーエンドになったかといえばなったのかもしれないが、終わり方があれ?これ?っていう感じ。
元々謎すぎるので、全部伏線回収されなくても全然いいが、おいてきぼりになったままの感じなので、後味は良くなかった。
面白くはないが、世にも奇妙な物語みたいなのが好きな方にはいいのかな?
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