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人数の町のmaroのレビュー・感想・評価

人数の町(2020年製作の映画)
3.5
【個人的順位】
鑑賞した2020年日本公開映画ランキング:91/127
 ストーリー:★★★☆☆
キャラクター:★★★☆☆
    映像:★★★☆☆
    音楽:★★★☆☆

『世にも奇妙な物語』にありそうな映画だった。

この"人数の町"(作中ではそうは呼ばれず、単に"町"って言われてるけど)は不思議なところで、簡単な作業さえしていれば衣食住に困ることはなく、プールもついてる。

各人に割り振られた部屋も、最低限と呼ぶにはやや贅沢なレベルで、アパホテルのシングルよりは広い。
殺風景だけど家具は一通り揃っている様子。

家族というものは意味を成さないため、基本的にひとりでの生活。
セックスは精神衛生上推奨されており、部屋の番号を書いた紙をヤリたい人に渡すだけでOK。
(もちろんそれで部屋に来てくれるかは別だけど、無駄なやり取りは必要ないという効率のよさw)

ただし、逃れることはできない。
逃れようとすると、この町に来たときに後頭部に埋め込まれた何かが反応して、頭痛を引き起こす謎の音楽を流す仕組み。

さて、この環境をどう捉えるか。
簡単な作業で衣食住が保証され、セックスも推奨。
ある意味、恵まれてはいるだろう。

ここに来る連中は借金で首がまわらなくなった人や、殺人を犯した人など、外の世界に居場所がない人たちばかり。
そんな人たちからしたら、いくら限られた空間に閉じ込められているとはいえ、安全が保証されたこの場所はまさに自由を謳歌できる天国かもしれない。

僕からしたら、たまに行くにはいいかもしれないけど、一生住み続けるのは無理だと思ったけどね。
できることは限られているから刺激は少ないし、何よりも人が人でなくなる気がしてならない。
ここにいる人たちはみんな記号のように見えて、あまり生気を感じることができなかった。
作中では描かれていないけど、いずれ気が狂う人とが出てきそう。

そうなると、人間とは何か、自分が何に喜びを感じるかなど、改めて考えるきっかけになりそうな話だと思った。

主演の中村倫也の演技がすごくリアルで、初めて来たときのとまどい方から生活に慣れてきたときの表情の変化など、実際ここに連れてこられたらこういうリアクションするんだろうなっていうのがよくわかる。

ラストは大方予想はついたけれど、一度連れて来られてしまったら、もうそれしか選択肢がなさそうなのが辛い。
本人がそれでよいのであれば、問題ないんだけどね。

なんか、昔観たユアン・マクレガーとスカーレット・ヨハンソンの『アイランド』って映画をちょっと思い出した。
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