Ren

人数の町のRenのレビュー・感想・評価

人数の町(2020年製作の映画)
2.0
『世にも奇妙な物語』や星新一作品に通ずるものを感じるディストピア映画。自分の期待値とFilmarksスコアの差に少々嫌な予感を抱きつつ鑑賞してきた。

舞台設定はかなり好みだった。平等という名の下で完全に支配されている、不自由なことのない町の無機質なデザインなどはとてもSF的で面白い。完全にこの町に順応し洗脳され、自発的な行動や思考を止めてのうのうと生きている人々の様子はディストピアそのもので、この時点でこの作品が含む痛烈な皮肉を感じられた。

本作のヒロイン・石橋静河演じる木村紅子が本編に絡んでくるのは開始1時間を過ぎたあたりで、映画の折り返し地点でようやくこの舞台設定を活かしたストーリーが始まる。
本来であればこの後半部分こそが作品の最大のアイデンティティであるべきなのに、ここがかなり端折られていたり、なぜと思うようなことが多かったりで、正直ノれなかった。オチに関しても、特段感じることなどは無い。主人公がこの町を逃げ出そうとする理由を読み取れず、共感が生まれなかったからかもしれない。

結局は、紅子の登場を挟んだ前半と後半をそれぞれどう評価するかだと思う。私としては前半は非常に興味深く、後半ではその期待値を下回ったまま終わってしまった印象があった。
Ren

Ren