Yuya

スパイの妻のYuyaのレビュー・感想・評価

スパイの妻(2020年製作の映画)
4.6
国内より 国外で評価の高い監督の
世間体やら外の社会を広角に残しつつ
心の深淵の さらにその先の暗部へと
カメラを落とし込むような
畏怖と神秘の同時体験の前では
思考は もはやその意味を成さない

ベタに劇中の言葉を使い回すなら
「お見事っ!」の一言だよな
この映画が孕む狂気と
それを体現しきってる蒼井優という存在がね

人の目線が捉えるピントなんて いつだって曖昧なもの
見たいものだけを 見えてほしいカタチで見たいのだ
それは大統領選でも ワイドショーネタでも
それこそ映画ひとつとって語っても同じこと
ただなぁ それで美意識や美徳っぽさは飾れても
“美学”まで貫くのは 至難なんだな
汚いものを汚いカタチで受け止めて
嫌な自分を嫌なままで受け入れて
それでもなお “想うところ”がある生き様にこそ
誠の美学を感じてしまう

一般論の正しさと 愛ゆえの無垢が 幾重にも交錯して
真実を包んだオブラートが 一斉に溶けた果てに
残ったものはなんだろか…?
うん 見応えのある 愛しくて憎たらしい邦画の極みだね
Yuya

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