みどり

スパイの妻のみどりのネタバレレビュー・内容・結末

スパイの妻(2020年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

2020/11/26
メトロ劇場


すごかった
いや、すごかったで片付けるのもどうかと思うけれど
圧倒されてしまって…
ものすごく疲れました。
そのくらい熱量があったし
少しも目を逸らせずに
かじりつくように見ていました


話の本筋とはずれる感想になるかもですが

優作の信用できなさ加減が際立っていて
何を言っても怪しくてずっと疑ってしまっていたし
それでも
途中からオチが読めたものの
とてつもなく聡子への愛を感じた


優作が満州で偶然見つけてしまった国家機密
持ち帰ったもの、草壁弘子の存在
彼や、彼の協力者からは秘密を共有されず
自分にはなにも知らされず
仲間外れのような立ち位置の聡子は
彼を疑い、信じることができなくなる
話を聞かされても
「君はなにも見ていない」
と言われる始末


そんな前半からは想像もできないほど
後半になるにつれて
聡子の変わりようがすさまじい
見てはいけないと言われたそれを
彼女が見てしまってから
どんどん変わっていく
黙ってついて行っていた妻ではなく
夫と秘密を共有することで
彼のいちばん近くにいて彼を理解できるのは自分だと
そう思ったのではないだろうか

だからこそ甥をあんなふうに利用したのだろう
以前の聡子ならば考えもしなかったように思える
ことがうまく行くように
そこまで計算してとった行動だった


洋物がよくないというような話があったけれど
そう言われて泰治のところへ行く時はしっかり和装をしていたり
そういう細かなところに聡子のしたたかさを感じる


幼なじみでもある、分隊長、泰治を演じていた東出くん
サイコパスという言葉がお似合いで
異様な空気を漂っていました、なんともはまり役かと

主演のお二人の演技に圧倒され続けて
すごい演技を浴び続けて疲れてしまった
けれども、
どうにもお見事!と言う他ない


蒼井優ちゃんが圧巻だったのです
前半と後半変わっていく姿は見もの

映写機をさわったり
宝石を丁寧に扱ったり
聡子の指先が綺麗だった印象
そういう撮り方をしているのかな?
監督自身がロケ地、衣裳、美術、台詞回し、すべてにこだわったというのもうなずける

理解できなかった部分は圧倒的に自分の知識不足
もっと勉強しなくては


君はスパイの妻なんかじゃない
もっと堂々と生きていればいい


優作から聡子への愛
聡子から優作への愛
愛の種類や形は違うかもしれないけれど
夫婦のつながりを感じたのだ


セリフの長回しシーンはすさまじい
みどり

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