tony

スパイの妻のtonyのレビュー・感想・評価

スパイの妻(2020年製作の映画)
3.7
お金もかかっているだろうし、完成度の高い映画だった。
特に戦争の悲惨さを伝えるものでもなさそうで、日本軍が行なっていた残虐行為に注目するものでもないのだろうけど、ユダヤ人の強制収容の映画を見たばかりなので、日本も人種で差別して弱者を作って憂さばらしをやっていたんだろうなとは思う。
そして主人公の蒼井優が終始めんどくさい女性にみえたが、それが何なのか。そのことが主題ではないのだろうけど、でも最も印象深いのが蒼井優の勝手に暴走して周囲を巻き添えにする役柄である。亡命の時、妻を守ろうとして密告したのではなく、そんな妻が迷惑で切り離したかのように、あの小舟での亡命シーンを見ていたら思えてくる。でもまた、夫を探しにアメリカへ行ったと文字で出てくるのが滑稽である。この夫婦それぞれの行動を愛情ととれない自分はひねくれているのだろうか?そしてやっぱり、この戦時中の壮大な映画の主題は夫婦の心理戦なのか?
絵は基本暗い。そして彩度もない。でも明るいシーンで見える、奥行きがあり造り込まれているセットから、暗闇であってもその闇の裏にはちゃんと背景があるように、見ている側は想像でリアルな暗闇だと思える。
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