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スパイの妻のtanayukiのレビュー・感想・評価

スパイの妻(2020年製作の映画)
2.9
予算の都合なのか、何か重要な出来事があってもナレーションやセリフの中で紹介するだけで、実際に撮影されるシーンの大半は、なぜかみんなが集う「いつもの場所(もちろん室内)」で進行する「朝ドラ」みたいなつくりの作品だなあと思ったら、もともとNHKのBS8K用のドラマだと知り、さもありなんと思った。全体的に作り物っぽさと安っぽさが目について、ストーリーに没入できないというか。

結局、自らをコスモポリタンと称した優作は「おのれの正義を貫くこと>>愛国心>>妻への愛」だったのに対して、聡子にとっては「夫への愛>>>>正義・愛国心」だったわけで、それぞれが自分の優先順位にもとづいて行動した結果があれだったということだろう。覚悟を決めた聡子の豹変ぶりが尊く見えるとしたら、蒼井優の演技力の賜物だと思うが、そのしたたかさの矛先が「夫から愛されることだけをひたすら願う妻」に向かってしまったのは残念だった。それが美談と称賛される時代は、もう過ぎ去ってしまったのではなかろうか。

△2022/05/22 ネトフリ鑑賞。スコア2.9
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