ジョー

スパイの妻のジョーのネタバレレビュー・内容・結末

スパイの妻(2020年製作の映画)
3.3

このレビューはネタバレを含みます

悲しい”お見事”なお話

本作の主人公は、神戸で貿易会社を営む福原優作の妻
福原聡子。海外を訪れた優作が国家を揺るがす秘密を持ち帰り、それに共謀する。

素晴らしいと思ったのは多くの役者が、自分が置かれている立場をしっかりと理解して慎重に演技をしている点。

少し気になったのは、音楽。
東京事変のギタリストとしても活躍する長岡亮介が担当している。
シーンに合わせた音楽づくりは流石の一言。
しかし映画音楽として、カット変わりや心情の変化の一瞬にまで合わせた楽曲作りにはまだ至っていない印象だった。
これからの活躍に期待。



そして昔の日本を描く時にどうしても付きまとうのが”歴史的背景”の問題だと思う。

古くから日本には「女性は三歩下がって歩くべし」という言葉がある。
古臭く差別的だと頭ごなしに言葉狩りをする輩に騒ぎ立てられそうだ。
しかしその本当の意味は「有事の際は構わず逃げろ」というもの。大切な女性を守り通す強い意志を持った男の言葉だ。

逃げることが女性にとって本意ではない場合も多々あるだろう。それを無視して勝手に強がる男が当時の日本には大勢居たのだと思う。
残された家族は?女性の意志や人生は?
他人事のようにその心配が浮かぶのは、命の危険に日々怯えて暮らす必要のない平和な毎日を過ごせている証拠だ。

時代や環境を配慮せず、現代に当てはめて差別的だと批判しようと思えば多くの作品が”時代錯誤な問題作”になってしまう。

何を伝えようとしているのか、その本質をしっかり見極めようと努力しない人は、この映画のターゲットではない、それだけのことだと思う。
ジョー

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