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スパイの妻のpherimのレビュー・感想・評価

スパイの妻(2020年製作の映画)
4.5
黒沢清監督新作が、満州の謀略描くスパイ物で濱口竜介脚本、かつ蒼井優&高橋一生のW主演。

しかもこの座組だけでうなぎ登る期待値を、遥かに超えた面白さ。
神戸の近代建築から衣装小道具まで緻密な再現は眼福の連続で、個々の信念を巡る熾烈な対峙は今日性抜群。この興奮、極の上。

また最も驚かされたのは、1940年代を生きる夫妻の造形でした。
貿易業を営む福原優作(高橋一生)は、満州の不可解な事態を察知し信念に従い決断する。妻聡子(蒼井優)は、夫の独断に抗いつつその理想を超えていく。個の対峙を国際港神戸のリアリティが支えきる。熱い。

あと『スパイの妻』は、脚本が濱口竜介&野原位という点でも楽しみでした。2人は神戸舞台の意欲作『ハッピーアワー』の共同脚本。そして黒沢作品と濱口作品(↓RT先で6作言及)に通底する闇深い《不穏さ》の源に近年聴き取りつづけた震災の残響を、今回は遠く貫いてきた。

濱口竜介監督作ツリー(『ハッピーアワー』他6作):
https://twitter.com/pherim/status/870658555543670784

※スパイ/監視社会物映画の筋で連続記事化しています。↓
https://twitter.com/pherim/status/1304873802380140544
(『スパイの妻』は第3回、公開日直前更新予定)

祝ヴェネツィア映画祭監督賞!